木のままごとセットのはなし

まさか

こんな日が

こんなにも
早く来るとは


思ってもみませんでした



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私の育った町には
MA MAISONという
ステキな洋食屋さんがあって



小さい頃
年に何回か
連れて行ってもらった時には


兄妹3人が
各々、ハンバーグを頼んでもらっていた


ハンバーグには
ゆいたろうハンバーグ
ふつうのハンバーグ
大きなハンバーグ
なおかつ大きなハンバーグ

なんて具合に
大きさがいろいろあって


それぞれが
年齢にあった
ハンバーグを食べていた


それにあとは
ポタージュスープと


1リットルのカルピス

おっきなワイングラスみたいな
グラスに入ったカルピスを
取り合うように
回して飲んでいたなあ




そんなお店の隣には
倉庫みたいなところがあって


その2階に


それはそれは
かわいい雑貨屋さんが
あったんだなあ


カントリーチックな
その雑貨屋さんが
私もおねえちゃんも
それから
かーこも大好きだった



あるお正月の過ぎた頃に
私は
その雑貨屋さんで


木のままごとセットに
出会った


5歳か
それぐらいかしら

もう小学1年生に
なってたのかしら



買ってくれと
ダダをこねても


買ってもらえなかった
ままごとセット




私のアルバムには

諦めきれずに

泣きながら
お姉ちゃんになぐさめられるように
雑貨屋さんの階段を下りる写真が
残っている




家に帰ってから私は
何がどうなって
そうなったのか
ぜんぜん覚えてないけれど



お年玉のお金で
自分でその
ままごとセットを買うことになる



お金を持って
お店に戻るの




4000円ぐらいだっただろうか


きっと

その頃の私にとっては

かなりの大金



というか
きっと


初めての買い物では
なかっただろうか



そんなこんなで
私のもとにやってきた
木のままごとセット



いつか子どもに使わせるんだと
私はその頃から
言っていた



少なくとも20年以上は経ったけれど



きれいに

ここに





Haruta


男の子だけれど
使っておくれ




母ちゃんの夢を
また1つ
叶えてくれて
ありがとう